民謡合唱団篝の紹介

合唱団の生い立ち

民謡合唱団篝は、1970年9月17日に発足しました。

日本音楽研究会(会長 網代栄三)の作品発表会「京都の民謡」特設合唱団に参加したメンバーを中心に「民謡を歌い続ける恒常的な合唱団」づくりが始まり、日本音楽研究会の強力な支援をいただいて発足の運びとなったものです。

名前が示すように、練習曲はすべて日本の民謡であり、特に京都の民謡です。民謡は日本人が歴史の中で培ってきた豊かな心に満ち溢れています。その心を受け継ぎながら、現代の人々の心の中に食い入っていく、そんな民謡を歌いたいとの想いで今も練習に励んでいます。

合唱団の目的

結団時に「民謡の研究と発表を目的とする」とされて以来変わっていません。「京都の民謡の発掘と再創造にとりくむ」を団員の合言葉に音楽活動にとりくんでいます。

「研究」は、現在までに京都府下延べ110ヶ所余りを訪問し、採録した曲は1,100曲ほどになります。

「発表」は、幾百年と生活の中で生き続けてきた唄を、よりたくさんの方々に聞いていただきたいとの願いから、事情の許す限りあらゆる機会を見つけて演奏に出かけます。そうした演奏活動の中から、現代人の心を揺さぶる民謡とはどんな曲なのかを求め続けています。

合唱団の活動

練習

毎週土曜日(6:30~9:00)を定例の練習日とし、そのうち毎月第1土曜日は「トライアルコンサート」に充てられます。

練習曲は、外部との合同演奏等特別な要因がない限り、京都府下を中心とした日本の民謡です。京都の唄についていえば、採録してきた元唄をもとに団内外の作曲家に依頼して創っていただいたり、京都の民謡に着目して既に発表されている作品を歌っています。

篝では特定の発声方法にこだわってはいませんが、現代の日本人が歌うのに無理のない、つまりごく普通の声の出し方で歌っています。喉と声の良さだけではけっして伝えられない心意気を掴み出して、歌いたいと願っています。

「トライアルコンサート」は、個々人の力量を高めるために個人で、あるいはグループで練習したものを発表し合い、聴き合う会です。このとき歌われる曲は古今東西を問わず、無論、特に民謡である必要もありません。オリジナル曲、イタリア歌曲、フォークソング、唱歌と、発表される曲のジャンルは多彩です。

発表

より多くの人に民謡の持つ素晴らしさを知ってもらうため、可能な限りあらゆる機会を活用して演奏に出かけています。

団独自の演奏会、春・秋の勤労者音楽祭、採録させていただいた地元での演奏会、ラジオ・テレビの出演、老人会、盆踊り大会など、年間20件前後の大小の演奏の場を持っています。こうした実践の中から、次第に「いい曲」が生まれてきました。

演奏の形態も様々で、盆踊りの音頭取りから三味線、囃子の入ったいわゆる「民謡風」演奏スタイル、同声・混声合唱、唄芝居(ミュージカル)など、その唄の持つ世界、あるいは私たちの想いが最も伝わりやすい演奏形態を模索して演奏し続けています。

楽器は、ピアノ、フルート、ギター、三味線、尺八、横笛、太鼓など表現方法に合わせて使い分けています。これらの楽器も特別な場合を除き、団員が奏します。

採録

「京都の民謡は?」と尋ねられて、「祇園小唄」「宮津節」「福知山音頭」「丹波音頭」新しいところで「竹田の子守唄」と、片手の指で事足りると思われているかもしれません。しかし実際には、京都府下では数百種の唄(民謡)が歌われてきたのです。

私たちは一方で歌いつつ、一方では今まで地元で歌い継がれてきた唄を求めて、発足以来約20年間かけて京都府下各地を走り回ってきました。

しかし、こうした採録活動も1990年代以降は唄(民謡)を歌っていただける地元の古老が殆どおられなくなり、残念ながら実質的に採録活動が不可能という状態になってしまいました。

今、民謡は時々刻々と消滅しつつあります。どんなに素晴らしい唄でも、作業が亡くなった「作業唄」、村を挙げての祝いの行事が殆どなくなった「祝宴唄」「嫁入唄」、泣く子を歌って寝かせてやることのなくなった「子守唄」など、「生」の唄はその中に幾星霜の年月で磨かれた心を抱いたまま、次々に姿を消しています。

私たちは、その心を大切にしたいと思います。そのために、まず消えつつある唄を一生懸命に探し、記録しています。今後は団外の方々にも協力をいただいて、府下の各地で集めた貴重な採録資料をどう活用していくのかを検討し、かつ具体化していくことが、私たち民謡合唱団「篝」に課せられた使命だと思っています。

合唱団員の構成

団員の職種は、生産労働者、学校職員、エンジニア、保育士、年金生活者など、地域合唱団の特色が出ています。

団員数は、20名~25名くらいのところを10年間ウロウロしてきました。男声、女声とも各パート10名、せめて8名、全体で35名は欲しい!というのが、切実な願いです。団員の年齢層も多分に漏れず高齢化が進み、団員の拡大と併せ、若返り策の強化も急務と言えます

合唱団のこれから

2023年9月17日で民謡合唱団は53年目を迎えました。採録と発表の45年間でしたが、採録の内容は「ふるさとの唄をたずねて―採録の記録集―」第1集~第13集として、また、京都の民謡の作曲集として「京都の民謡合唱曲集」他曲集4冊、篝の演奏による「京都の民謡」をカセットテープ(第1集及び第2集)並びにCD(第1~3集)で発行してきました。

今までの活動の中で、わたしたちは実に多くの方々のご協力、ご援助をいただきました。採録の際には、教育委員会、老人会、お集まりくださって歌ってくださった方々など、多くの団体、個人の方々のご協力をいただきました。

また、採集した唄を現代の人たちの心に食い込む作品として生まれ還らせるため、日本音楽研究会をはじめとした作曲家の諸先生方にお世話になりました。府立総合資料館にもたびたびご厄介になりました。

私たちは、こういった方々のご支援とご期待を裏切らないように、さらには次代を担っていただける人たちに貴重な財産を引き継ぎ京都の唄の心を歌い継いでいってもらうため、今後も10年20年と頑張っていきたいと思います。

どうぞ、今後も民謡合唱団篝に対し、温かいご支援を賜りますようよろしくお願いいたします。

そして、何よりも、あなたご自身が民謡合唱団篝の仲間として加わっていただけることを心からお待ちしております。